【エッセイ感想】ピアニストの壮絶な人生とパリの音楽文化を描写 フジコ・ヘミング『パリ音楽散歩』
はじめに
フジコ・ヘミングさんの著書『パリ音楽散歩』を読みました。

※書影はAmazonより引用しております。
フジコさんの月の光やノクターンなどが好きでよく聞いています。
どうしてフジコさんの音楽は、こんなにも心を揺さぶるのだろう?
その理由の一端に触れられた気がした一冊でした。
壮絶な人生を知る第1章
幼少期からの厳しいピアノ教育。
その裏に重なる数え切れない苦悩。
単なる「努力」では片づけられない、音楽家として歩むうえで避けて通れなかった数々の試練が描かれます。
読みながら、胸がぎゅっと締めつけられる場面も多いのに、それでも前に進み続けた強さに、ただただ驚かされます。
「音」そのものに宿る魂の理由が、少し見えました。
パリでの暮らしが語られる第2章
舞台はお気に入りの街・パリへ。
好きなものに囲まれ、大好きな動物たちと共に暮らす日々が綴られています。
雨の音、石畳、古い街に流れるクラシック…その描写から、パリの空気の冷たさや温度まで伝わってくるようです。
壮絶な過去を生き抜いたフジコさんが、穏やかな日常を手にしていることが、本当に嬉しく感じられました。
音楽家たちを巡る第3章
パリに縁のある音楽家たちの人生が語られ、それぞれの生き方と音色について、フジコさん独自の視点で紹介されます。
「音楽家はなぜ、ここまで試練を背負うのか?」そんな問いが自然と浮かびます。
パリという街が、ただの観光地ではなく、音楽文化を育ててきた歴史ある場所なのだと実感しました。
今の幸せを噛みしめる第4章
過去の痛みすら、今は音に昇華されている。
そんな静かな強さが言葉の端々に宿っています。
多くの仲間に囲まれ、舞台の上で音楽を届けられる幸福。
人生の最後まで「弾き続ける」力をくれる喜び。
読んでいるこちらまで優しい気持ちになれます。
おわりに
第1章の壮絶さがあるからこそ、終盤にかけての幸福感が心に沁みます。
音楽と共に生きるということは、決して美しいだけではないけれど、その先に確かに光がある――それを教えてくれる本でした。
フジコ・ヘミングさんのファンはもちろん、音楽やパリの文化が好きな方にも心からおすすめしたい一冊です。

