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【小説感想】『わたしの美しい庭』凪良ゆう 心に残る優しさと孤独に向き合う物語

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はじめに

凪良ゆうさんの小説『わたしの美しい庭』を読みました。

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実はこの本、かなり前に表紙があまりにも美しくてときめき、紙の書籍で購入していました。

けれど読むタイミングを逃し続け、気づけば何年も積んだままに。

今年ようやく手に取り、最後まで読み終えました。

結論から言うと、「もっと早く読めばよかった」と心から思える一冊でした。

私は以前に読んだ凪良さんの『流浪の月』が少し苦手で、今作も合わないかもしれないと正直不安がありました。

すごく心に響きすぎて、ネガティブになってしまったんです。

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けれど『わたしの美しい庭』は、日常にひっそりと存在する優しさや、どうしようもない悲しみを、驚くほど繊細に、そして情緒豊かに描いています。

読み終えたあとの心がとても静かで、あたたかくなるような読後感でした。

短編集のようで、ひとつにつながる物語

この作品は、短編集のようにも見える構成ですが、中心となる登場人物たちが5人存在し、それぞれの視点から物語が紡がれていきます。

描かれているのは、いわゆる「多数派」ではない人たち。

マイノリティの立場にある人や、世間的には「普通」から外れていると見なされてしまう人たちが主人公です。

特に印象的だったのは、周囲の悪気のない差別おせっかいに苦しむ様子。

読んでいて「あるある…」と何度も心の中でうなずいてしまいました。

いちばん心に残った登場人物・桃子さん

私が特に好きだったのは、40代手前の独身女性・桃子さんの物語です。

『あの稲妻』という章で彼女が中心に描かれます。

「独身の女性」「職場ではお局ポジション」といった立場から、周囲との軋轢や、無言の圧力、そして自分の在り方に悩む姿がとてもリアルでした。

正直、私は彼女と近い属性を持っているため、共感してしまう部分が本当に多く、この話がもっとも心に入り込んできました。

物語の中で、桃子さんはある決意をする場面で、こんな言葉を語ります。

わたしは不幸かもしれない。

わたしはかわいそうかもしれない。

けれどわたしの中には、たった一度の雷鳴が今も響いている。

母親から結婚のことを心配されたり、職場で孤立感を抱えたりする彼女が、「たとえ誰にも理解されなくても、自分の気持ちを尊重する」と決める姿は、本当に美しく、胸を打たれました。

フィクションの人物であるはずなのに、どうか桃子さんが幸せであってほしいと、本気で願ってしまいました。

そして、桃子さんのその後が、意外な人物のストーリーの中で描かれたとき、そこに現れた彼女はやっぱりとてもかっこよかったです。

おわりに

『わたしの美しい庭』は、派手な展開があるわけではありません。

けれど、心の奥に静かに沁み込んでくるような物語です。

  • じんわりした読書体験が好きな方
  • 日常にあるささやかな優しさを感じたい方
  • 生きづらさを抱えている方

そんな人に、そっとおすすめしたい一冊でした。

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